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北陸新幹線による湖西線の経営分離可能性からみるJRの今後


最近関西で話題になっているのが、北陸新幹線の開業による湖西線の経営分離の可能性。
久しぶりに、時事ネタで思うところを書いてみようと思います。

JR西日本の真鍋精志社長は2016年2月17日の記者会見で、

「北陸新幹線の敦賀以西延伸に伴って経営分離の対象となる並行在来線の取り扱いについて、湖西線が該当する可能性がある」

との認識を明らかにしたことが発端となり、滋賀県が大反発をしています。
昔、比叡山坂本にある取引先にいくのに、よく湖西線を使っていたものとしては、よく沿線の事情を知っているだけに関心があって、いろいろ考えてみました。

政治的な話はどうでもいいのですが、この問題は、JRという鉄道会社が今後どう鉄道事業を経営していくかの試金石なのかなと思います。
不採算事業を切り続けて、ほそぼそと生きていくか、中長期的に攻める経営をしていくか。

そもそも湖西線とは?

関西以外の地域の方や北陸の方以外にはなじみのない路線なのですが、京都から滋賀県の琵琶湖の西側を通って敦賀に抜けるJRのルートです。
京都や大阪のベッドタウンになっている地域を抜ける路線であるため、京都から先の大阪、神戸方面にも新快速が乗り入れており、多くの滋賀県の方が通勤の足として使っています。
さらに、意外と知られていませんが、滋賀県の琵琶湖沿岸は工業地帯でもあり、ビジネスマンの利用も多かったり、あとは観光地としてスキー場や世界遺産の延暦寺などに訪れる多くの方が利用しています。
沿線の歴史的な遺産や、景色のよさなどから、司馬遼太郎の街道をゆくの1巻はこの湖西線沿線から始まっています。

以下が湖西線が走っている駅名なのですが、古典などにたまに出てくる地名も入っていますよね。

■駅名

  • 京都
  • 山科
  • 大津京
  • 唐崎
  • 比叡山坂本
  • おごと温泉
  • 堅田
  • 小野
  • 和邇
  • 蓬莱
  • 志賀
  • 比良
  • 近江舞子
  • 北小松
  • 高島
  • 安曇川
  • 新旭
  • 近江今津
  • 近江中庄
  • マキノ
  • 永原
  • 近江塩津

と抜けて、福井県敦賀市の敦賀駅まで続いています。
何年か前に直流化工事が終わり、新快速で京都、大阪から乗り換えなしで敦賀に行けるようになりました。

在来線の本数はそんなに多くないですが、特急サンダーバードや貨物も走るため、毎日多くの電車が行き来する滋賀県や関西地方の主流な路線と言えます。

北陸新幹線のルート

2015年に金沢や富山に延長された北陸新幹線。
福井県の敦賀市までのルートはすでに決定されていますが、その先の話がまだもめており、今回の話題の焦点なのです。
国の整備計画で福井県小浜市付近を経由して大阪まで結ぶことが盛り込まれていますが、敦賀から先のルートが長年決まっていませんでした。

候補としては、

  • 米原ルート
  • 湖西線ルート
  • 小浜から舞鶴に抜けるルート

の3つが長年上がっており、地元の政治的な思惑や様々な要因から有力案が出来ては消えてを繰り返していました。

ところが、最近になって、JR西日本が小浜ルートを要望したことで、流れが一気に変わりました。
もうほぼ小浜ルートで決定といった感じになってきました。

個人的には、最近はずっと小浜ルートになるだろうなと思っていました。
自民党の谷垣禎一さんという有力な政治家が沿線から出ていますし、独裁者や改革者と言われる井手正敬さんという元JR西日本の社長も沿線の出身です。
事実、小浜線はきれいに電化され、井手正敬さんの地元の駅は利用者の量からは考えられないくらい新しい駅になっています。
一方、滋賀県の西側は、民主党の川端さんが長年選出されており、近年自民党から大岡敏孝さんもようやく与党の政治家が選出されたとはいえ2期目の議員。
政治的なパワーバランスは明らかに小浜・舞鶴に軍配があります。
この状況で、小浜ではなく、滋賀県の湖西や米原を通るルートを国が選ぶとは到底思えませんでしたし、事実そうなりそうです。

並行在来線の経営分離

3つのルートともに、メリットとデメリットがあるので、どれがいいのかという評価は難しいです。
小浜ルートには小浜ルートのよさがあり、逆にそれで失うものもあります。
私が今回議論したいのは、どのルートがよいかではありません。
今回、着目したいのは、小浜ルートを北陸新幹線が走ることで、湖西線が経営分離されることです。

そもそも経営分離というのは、建設着工する区間の並行在来線は、開業時にJRの経営から分離ことです。
つまり、新幹線が走ると、みんな新幹線に乗って移動するので、並行して走っている在来線は赤字になるので、JRから経営を分離して沿線の自治体に押し付けてもいいよというものです。
そもそもこの考え方自体、めちゃくちゃな気がしますが、一旦それはおいておいて、これまでの東北新幹線や北陸新幹線では並行した在来線の第3セクター化がされています。

今回は、北陸新幹線が走るので、敦賀~京都の区間で湖西線が並行在来線に認定されて、経営分離するとJRが言い出しているのです。
これは、湖西地方の住民や企業、自治体にとってはたまったものではありません。
新幹線は別に湖西線の沿線を通るわけではなく、何も湖西にメリットはありません。
通常は沿線に新幹線が走るメリットと引き換えに、並行在来線が分離されます。
今回の問題が根深いのは、沿線に新幹線が通らないのに、在来線を分離すると言い出したことです。
ただJRの勝手な経営的都合により、路線が自治体に押し付けられるというわけです。

JR西日本の経営的観点での賛否

地域の関係者の論調は感情的なものが多いので、まずは冷静にJRの視点で本問題を考えてみたいと思います。
つまり、経営的判断として、湖西線の分離は正しのかということですね。

個人的には、短期的なキャッシュフローしか見られていない戦略なきコストカットでしかないと思います。
短期的なキャッシュフローだけをみていると、たぶんこの経営分離の判断は正しいと思います。
たしかに、北陸方面から関西に向かう乗客は減るでしょうし、沿線の状況から急激に乗客が増えることもないです。
利益率が落ちていくビジネスを、どこかのタイミングできるとすると、このタイミングを逃すとずるずるコストが増えていく事業を持ち続けなくてはなりません。

でも、事業戦略は、短期的なキャッシュフローだけを見てはできないものです。
このままいくと、新規事業が乏しい中で、不採算事業をカットして、利益率を微減させながら、売上高が急激減少していく状況になり、企業規模が縮小していくのをとめられません。
最終的に数十年先に行き着くのは、都市部などで私鉄が走るようなエリアのみが路線になり、私鉄との競争が激化し、さらに利益率が落ちていく状況です。
そして、2020年くらいまでは不動産価格も安定していくかもしれませんが、人口減少の中いずれ下落に転じることは確実です。
そうすると、保有する不動産価格が減り、事業収入も微妙で、経営的には財務上も危なくなってきます。
このままでは、確実につぶれると思います。
もちろん、公的企業なので、倒産はしません。
最後は国になきついて、今で言う産業革新機構のようなところが支援をするか、そのときに日本の国にそんな体力がなけらば、戦後のように国際機関の援助を受けることになるでしょう。

長期的な視点でみたJRの戦略としては、湖西線は分離せず、沿線を観光地として開発しながら、観光路線としての経営のやり方をしていくのが正解だと思います。
世界遺産の延暦寺、大津京跡、比良さん、高島のスキー場、おごと温泉、海津のさくら・・・あげていくときりがないくらいの観光資源があります。
人口が減って、生活路線としての鉄道収益から、観光路線としての鉄道収益にしていくのが重要になってくることは明らかかと。
もちろん鉄道事業以外に不動産事業などへの事業シフトも重要ですが、それでも事業ポートフォリオの中で鉄道をはずすわけにはいきません。
そうだとすると、沿線の開発の可能性を利用しないで、キャッシュフローだけみて、事業をきる経営のやり方は、ひとことでいうと「へたくそ」な経営だと思います。

湖西線は沿線の観光資源から、経営分離せず、観光路線として収益化の道を模索するべき路線です。

湖西地方の自治体はだめすぎる

ちなみに、経営分離で湖西線を押し付けられる自治体は、青天の霹靂のような驚きと対応をしています。
でも、こうなることは、確実に予想できますよね。
北陸新幹線ができたら、JRは過疎地域の路線を分離したがるだろうということくらい、中学生でもわかります。

もし北陸新幹線が湖西沿線を通らないとき、北陸新幹線の開業は湖西地方にとって百害あって一利なしということはあきらかです。
なぜ、これまで何も対応をしてこなかったのか、本当に理解に苦しみます。
大津市の越直美市長、高島市の福井正明市長、滋賀県の三日月大造知事ともに、こんな簡単な予想すらできないのかという驚きです。

新幹線ができる→湖西線の乗客が減る可能性→経営分離の議論

めちゃめちゃ簡単なロジックで、めちゃくちゃ簡単な予想だと思うのですが・・・。
たぶん、子々孫々の代まで、越直美市長、福井正明市長、三日月大造知事はぼんくら政治家として語り継がれると思います。

別に住民じゃないので、私は関係ありませんが(笑)

まとめ

いろいろ考えるところを書きましたが、現実的なところでは、

  • 北陸新幹線のルートは小浜を通るルート
  • 湖西線は経営分離

になるかと思います。
政治の話はどうでもいいですが、1人の投資家としては、これから確実に人口が減っていく日本で、確実に収益が落ちていく鉄道会社が、これからどう経営をしていくかみどころですね。

冒頭にも書きましたが、この問題は、JRという鉄道会社が今後どう鉄道事業を経営していくかの試金石なのかなと思います。
不採算事業を切り続けて、ほそぼそと生きていくか、中長期的に攻める経営をしていくかを選ぶときにいる気がします。
湖西線は、沿線の人口、観光地としての開発の可能性、地理的な重要さなどなどが、他の並行在来線とは少し違う性質の在来線です。
この湖西線をどう扱うかで、これからのJR西日本の行く末が見える気がして、今後に注目していきたいと思います。

コメント

  1. 全く同感です。私も滋賀県知事は新幹線米原誘致よりも在来線生き残り策を真剣に考えるべきです。風向に恵まれた地形と美しい水を有効に生かした産業や観光の開発を優先させるべきです。旅行業者としての私から見ても、JRの提案したルートは自己の感情は別にしても
    最適なルートであるとは否めませんし、実はJR発表前からこのルートが提案されないのが
    不思議な位でした。只、湖西線沿線の住民としての私は、完全切り離し迄は今でも考えられないことでした。逆に別の開発を考えて来ると思って居りました。

  2. フリーダム

    JRも何を考えているのでしょうか?

    湖西線の経営分離は北陸新幹線の大阪延伸を
    諦めることを意味します
    現在の建設スキームは経営分離の不同意は
    条件が整わないから着工しないです

    滋賀県にとって経営分離を受け入れてでも
    北陸新幹線は必要なものではないのですから

  3. 新幹線に湖西線を通る特急を譲る代わりに、京都大阪方面に直通する新快速および、乗換はあっても新快速に接続する快速を活用した観光開発沿線開発に活用する、という発想はないものでしょうか。

    また、湖西線を通る鉄道貨物の活性化も欠かせないと思います。

    短絡的に経営分離、押し付けという発想は愚かしいものです

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